【第17章】EV向けタイヤの価格・寿命・電費の比較:試算例で見る費用対効果
電気自動車(EV)のタイヤを選ぶとき、購入価格の差を摩耗寿命の長さや電費の改善で取り戻せるかは気になるところです。前提条件を置いた試算で、その費用対効果を整理してみましょう。小山市のクレスコタイヤサービスから、計算例と見積もりの比べ方を紹介します。
1. 購入価格差と走行距離の分岐点
仮に4本分の購入価格として、製品Aが6万円、製品Bが10万円だった場合を想定します。100,000円 ÷ 60,000円 ≒ 1.67となるため、タイヤ単体の購入代金だけで走行1kmあたりの費用を揃えるには、製品Bは製品Aの約1.67倍の距離を走る必要があります。
製品Aが3万km走行できたと仮定すると、走行1kmあたりのタイヤ代は2円です(60,000円 ÷ 30,000km)。製品Bで同じ1kmあたり2円を達成するには、5万kmの走行が必要です(100,000円 ÷ 2円/km)。
ただし、これはタイヤ代のみを対象とした計算例です。実際のタイヤ交換では、取付工賃、ゴムバルブ交換費用、廃タイヤ処理料などの付帯費用が発生します。これらの費用を含めて総額で比較すると、1kmあたりのコストを揃えるための分岐距離は変化します。
また、タイヤの実際の寿命は製品の設計だけでなく、残溝の深さ、偏摩耗の有無、外傷、日常の空気圧管理、運転環境などに大きく影響されます。購入価格が高い製品であっても、条件次第で一律に長持ちするとは限らない点に注意が必要です。
2. 電費改善による電気代の試算
年間走行距離10,000km、電費6.0km/kWh、電気代30円/kWhと仮定します。年間の電気代は、10,000÷6.0×30=50,000円です。
同じ距離・電気料金で、電費(1kWhで走れる距離)が3%改善して6.18km/kWhになったとすると、年間の電気代は10,000÷6.18×30≒48,544円になります。差額は年間約1,460円、4年間では約5,830円です。
この条件では、前の例の4万円の購入価格差を電気代だけで埋めることはできません。なお、この3%という改善率は試算のための仮定です。実際に比較する際は、製品や走行条件に応じた電費の差と、購入・交換費用を合わせて考えましょう。
3. 見積もりを比較する際の確認手順
候補となるタイヤを比較検討する際は、以下の順序で条件を揃えて確認します。
- 車両適合条件の確認 車両の指定空気圧表示シールや取扱説明書に記載されたタイヤサイズ、ロードインデックス(荷重指数)、速度記号を確実に満たしているかを確認します。車両重量に見合う負荷能力を備えていることが大前提です。
- 総費用の算出 タイヤ本体の価格だけでなく、組替工賃、バランス調整料、バルブ交換費用、廃タイヤ処分料など、同等の費目を揃えて総額を算出します。
- 性能情報の照合 低燃費タイヤ等のラベリング制度による転がり抵抗性能等級や、メーカーが公開している耐摩耗性・摩耗寿命の試験データを比較します。
- 付加性能の整理 静粛性や乗り心地など、電費以外の性能に求める価値を整理し、総費用との兼ね合いを判断します。
EV専用をうたう製品であっても、使用環境や走行距離によって経済的な利点は異なります。走行安全性に関わる適合条件を確保したうえで、総費用と各性能を総合的に評価して選択することが重要です。
安全に走行するため、残溝や空気圧などを定期的に確認しましょう。当店では無料タイヤ点検も実施しています。
次回はタイヤから少し離れて、ホイールの設計について取り上げます。