【第1章】EVのタイヤ摩耗と走行特性:車両重量とモータートルクが与える影響
小山市のクレスコタイヤサービスです。
EVに乗り換えてタイヤの減り方が気になったら、車両の特性と使い方を合わせて確認しましょう。バッテリーを搭載した車の重量やモーターの加速特性は、タイヤにかかる負担にも関わります。
今回は、車両重量と加速がタイヤに与える影響、交換時に比較したい性能を解説します。
駆動用バッテリーによる車両重量の増加と負担
電気自動車の車体構造における大きな特徴のひとつが、床下などに配置される大容量の駆動用バッテリーです。バッテリー本体の重量が加わることで、同等の車格を持つガソリン車と比較して車両重量が増加する傾向があります。
たとえば、2022年発表の軽電気自動車である日産サクラでは、装備により車両重量が1,070kgから1,080kgとなっています。
同じ加減速や曲がり方でも、重い車ほどタイヤが受け持つ力は大きくなります。
加減速時の前後方向の力
同じ強さの加減速を行う場合でも、質量が大きい車体ほど、加速させるための力や減速させるための制動力は大きくなります。この力は接地面を介して路面に伝達されるため、タイヤの接地部分への負担が増加します。
旋回時の横方向の力
一定の速度と旋回半径でカーブを曲がる際、車体にかかる横加速度(いわゆる横G)が同一であっても、車体の質量が増加していれば、その進路を保つために必要な横向きの力は質量に比例して大きくなります。
これらの要因が走行時に継続して作用することが、タイヤの摩耗に影響を与える背景となっています。
モーターのトルク特性と穏やかな運転操作
2つ目の要因は、電気モーターの出力特性です。
内燃機関(エンジン)はある程度の回転数に達してから最大トルクを発揮するのに対し、電気モーターは回転開始の極低速域から大きなトルクを発生させることができます。そのため、発進直後から力強い加速を得ることが可能です。
発進や中間加速で急激なアクセル操作を繰り返すと、その都度タイヤ接地面には強い駆動力が加わり、ゴム表面の摩耗を促す要因となります。発進時や加速時にアクセルペダルを穏やかにコントロールすることや、車両にエコモードなどの出力抑制機能が備わっている場合はそれを活用することが、タイヤへの過度な負担を抑える運転方法となります。
指定規格の確認とタイヤの性能比較
EVのタイヤを交換する際は、単に製品名や「EV対応」などの表記だけで判断せず、まずは車両ごとに指定されているサイズ、規格と必要な負荷能力、速度記号を確実に満たす製品を選ぶ必要があります。
その上で、使用目的に応じた性能を比較検討します。
耐摩耗性能
重量増と高トルクによる摩耗の進みやすさを考慮し、耐摩耗性に配慮されたゴム配合や接地圧を均等にする設計が施されているかを確認します。
転がり抵抗と電費性能
EVの航続距離や電費を維持するためには、転がり抵抗の低減が重要です。
静粛性とウェットグリップ
エンジン音のないEVでは走行時のパターンノイズやロードノイズが目立ちやすいため、静音構造が採用されたタイヤも適しています。同時に、十分な安全性を確保するためにウェット制動性能とのバランスを確かめることが欠かせません。
メーカーによって、ガソリン車と共用で高い負荷能力と静粛性を両立させている銘柄もあれば、電動車両向けに設計を最適化した銘柄もあります。自車の指定要件を満たした候補の中から、日常の走行環境に合った性能を持つタイヤを選びましょう。
日常の点検と適切なタイヤ選定
タイヤの摩耗が気になった場合は、残溝の確認だけでなく、空気圧の定期点検や偏摩耗が起きていないかのチェックが推奨されます。指定された空気圧を保つことは、適正な接地形状を維持し、摩耗の進行や転がり抵抗の悪化を防ぐ基本です。
次回は、エンジン音がないEVだからこそ際立つ「車内の静粛性とロードノイズ」の仕組みや、タイヤによる騒音対策について取り上げます。
【第2章】EV・ハイブリッド車のタイヤ音と静粛性を高める技術
タイヤの摩耗状態の確認や、お車に適合するタイヤ選びについてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。