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【第3章】EVの電費に関わる転がり抵抗とラベリング制度

大島 正公開:更新:

電気自動車(EV)に乗るうえで、1回の充電で走行できる航続距離や電費は重要な関心事です。車両の走行効率には、路面と接するタイヤの転がり抵抗が関わっています。クレスコタイヤサービスが、タイヤの転がり抵抗の仕組みと、選ぶ手掛かりとなるラベリング制度について解説します。

1. 転がり抵抗の仕組みと電費への影響

走行中、タイヤは車両の荷重を受けながら回転するため、路面に接地する部分でゴムの変形と復元を繰り返します。この変形と復元に伴ってエネルギーの一部が熱として失われ、この損失が転がり抵抗の主な要因となります。

タイヤの転がり抵抗によるエネルギー損失が大きいと、一定の速度を維持するためにより多くの電力を消費します。転がり抵抗が小さいタイヤは、走行時のエネルギー損失を抑えることができるため、電費の改善に寄与します。

2. タイヤの性能を示すラベリング制度

転がり抵抗の度合いを確認する指標として、日本自動車タイヤ協会(JATMA)が定めた「低燃費タイヤ等普及促進に関する表示ガイドライン(ラベリング制度)」があります。

この制度では、転がり抵抗性能が以下の5等級に区分されています。

等級 転がり抵抗係数(乗用車用、N/kN)
AAA 6.5以下
AA 6.6~7.7
A 7.8~9.0
B 9.1~10.5
C 10.6~12.0

転がり抵抗係数は、タイヤへの荷重に対する抵抗の比率で、数値が小さいほど転がり抵抗が小さいことを示します。 ラベリング制度において「低燃費タイヤ」と定義されるのは、転がり抵抗性能がA以上で、かつウェットグリップ性能がaからdの範囲内にあるタイヤです。なお、同一銘柄であってもタイヤサイズによって等級が異なる場合があるため、装着するサイズごとのラベルを確認することが基本です。

3. 電費への影響と試算の考え方

転がり抵抗の等級が高いタイヤを選定した場合、電費への好影響が期待されますが、タイヤの交換だけで航続距離がどの程度伸びるかは等級のみから一律に計算できるものではありません。

仮の計算例として、外気温や道路状況などの走行環境および利用可能な電力量が同一の条件下で、電費(km/kWh)が2%向上した場合を考えます。この条件であれば、1回の満充電で400km走行できる車両は「400km × 1.02 = 408km」走行できる計算になります。

実際の走行では、気温や走行速度、勾配、空調の使用状況といった走行環境によって電費は大きく変動します。タイヤ交換による数値の向上を前提とせず、天候や経路に応じた余裕のある充電計画を立てることが重要です。

4. ウェットグリップ性能とのバランス

タイヤを選ぶ際は、転がり抵抗だけでなく雨天時の制動性能を示す「ウェットグリップ性能」も併せて確認する必要があります。ラベリング制度では、ウェットグリップ性能がaからdまでの4等級で評価されています。

転がり抵抗とウェットグリップは別々に評価されるため、両方の表示を確認しましょう。電費を重視してA以上の候補を探す場合も、雨天時の制動性能を合わせて比較することが大切です。

まとめ:ラベリングを確認したタイヤ選び

EVのエネルギー効率を活かすためには、タイヤの転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を把握した銘柄選びが役立ちます。車両に適合するサイズ表記やカタログのラベリング表示を確認し、走行条件に合ったタイヤを選定しましょう。

次回は、大容量バッテリーを搭載する重量級EVに向けて制定されたHL規格について取り上げます。

【第4章】タイヤのHL規格とは?XL規格との違いと選び方


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