【第2章】残り溝と雨の日の制動距離|使用限度前に確認したいこと
こんにちは!小山市のクレスコタイヤサービスです。
前回の記事では、濡れた路面でタイヤが滑りやすくなる理由と、グリップが保たれる仕組みを紹介しました。路面とタイヤの間の水をかき出すために欠かせないのが、トレッド面に刻まれた溝です。
乗用車用タイヤには法律で定められた使用限度がありますが、雨の日の制動性能は限度に達する前から変化します。今回は、残り溝の深さと雨天時の制動距離の関係について、実際のテストデータを交えながら解説します。
濡れた路面で溝が果たす役割
タイヤの溝は、路面と接地面の間に入り込む水を外へと押し出す排水路の役目を持っています。溝の深さや配置は、水を逃がす働きに関わります。
しかし、走行を重ねて摩耗が進むと、一度に排出できる水の量が減ってしまいます。その結果、水が抜けきれずにタイヤと路面の間に残りやすくなり、グリップ力が低下します。
スリップサインと使用限度の基準
乗用車用タイヤは、溝の深さが1.6mmになるとトレッド面にスリップサインが現れます。道路運送車両の保安基準により、溝の深さが1.6mm未満のタイヤは公道で使用できません。スリップサインが1箇所でも露出したタイヤは使用限度を迎えているため、速やかに交換する必要があります。
ただし、1.6mmはあくまで法律上の使用限界です。タイヤの排水性能は限界に達する前から徐々に低下していくため、スリップサインが出る前の段階から残り溝を意識しておくことが大切です。
JAFの摩耗テストに見る制動距離の違い
タイヤの摩耗によって雨の日の制動距離がどれほど変わるのかを示すデータとして、JAF(日本自動車連盟)が実施したユーザーテストがあります。
2015年3月22日にGKNテストコースの濡れた直線路面で行われた試験では、同一条件下で時速100kmから急ブレーキをかけた際の平均制動距離が測定されました。夏用タイヤの測定結果は以下のとおりです。
- 10分山(新品):47.6m
- 5分山:50.8m
- 2分山:70.5m
新品の10分山と半分程度摩耗した5分山との差は3.2mですが、さらに摩耗が進んだ2分山では70.5mとなり、新品時と比べて約23m制動距離が伸びる結果となりました。
この数値は特定の試験環境で計測されたものであり、実際の制動距離はタイヤの銘柄や路面の水深、空気圧などによって変わります。この試験では、摩耗の進んだ2分山のタイヤで大きな差が出ています。
残り溝とタイヤの状態を点検する方法
日常的な点検では、まずスリップサインが出ていないかを目視で確認します。タイヤの側面にある三角マークの延長線上の溝底にスリップサインが設けられています。
残り溝の深さを具体的に知るには、市販の溝深さゲージを使ってトレッドの主溝を複数箇所測定するのが確実です。また、タイヤの内側や外側だけが早く減る偏摩耗がないかも合わせて見ておきましょう。偏摩耗が起きていると、タイヤ全体としては溝が残っているように見えても、一部だけが先に使用限度に達してしまうことがあります。
梅雨や長距離の運転を迎える前に、普段走る道や速度も踏まえて残り溝と交換時期を確認しましょう。
次回は、雨の日の性能を見分ける手がかりとなるタイヤのラベリング制度について紹介します。
クレスコタイヤサービスでは、タイヤの残り溝や摩耗状態の無料点検を行っています。タイヤの減り具合が気になるときや、購入した新しいタイヤの持ち込み交換を検討している場合は、ぜひお気軽にお問合せください。