なぜ氷で滑りにくいのか?スタッドレスタイヤの性能を支える2大要素の仕組み
こんにちは!小山市のクレスコタイヤサービスです。
前回の記事ではスタッドレスタイヤの歴史を取り上げましたが、今回はその性能を支えるゴムと溝の働きに注目します。 氷雪路面でスタッドレスタイヤがグリップ力を生み出せる背景には、低温環境に合わせたゴムの性質と、トレッドパターンの緻密な構造という2つの要素があります。
秘密その1:低温でもしなやかさを保つゴムの配合
タイヤが氷の上で滑りにくくするためには、氷の微細な凹凸に対してゴムがしっかり密着する必要があります。夏タイヤとスタッドレスタイヤでは、想定される路面温度や走行環境に応じたゴムの配合設計が大きく異なります。
夏タイヤは温暖な時期の乾燥路や雨天路で適切な剛性と耐摩耗性を保つ設計のため、気温が著しく低下するとゴムが硬化し、路面への密着性が低下しやすくなります。 一方、スタッドレスタイヤは、氷点下の寒冷地でも硬くなりにくい特殊な配合が施されています。ゴムの種類に加え、シリカや軟化剤、オイル、樹脂などをバランスよく組み合わせることで、低温下でもしなやかさを保ち、氷表面の微細な凹凸へ追従して密着する設計が採られています。
ブリヂストンの発泡ゴムのように、ゴム内の気泡や水路を利用して氷上の水膜を取り除く技術もあります。2025年モデルの技術を紹介した回では、メーカーごとの吸水・除水の工夫を取り上げています。
秘密その2:氷と雪を捉える緻密な溝の構造
スタッドレスタイヤの接地面には、氷雪路での走行を考えてブロックや溝が配置されています。この溝配置は、氷の路面と雪の路面のそれぞれに対して異なるアプローチでグリップ力を引き出します。
サイプ:均一な接地とエッジ効果、除水
トレッドブロックの表面に細かく刻まれた切れ込みを「サイプ」と呼びます。
- 接地を助ける:サイプを入れたブロックが路面に沿って変形し、均一に接地しやすくなります。
- 水膜の取り込み:氷の表面にはタイヤとの摩擦熱などで薄い水膜が生じ、滑りの原因になります。サイプの細い空隙がこの水膜を取り込み、ゴムと氷の直接接触を助けます。
- エッジ効果:サイプの角(エッジ部)が氷の表面を引っ掻くように作用し、前後左右へのグリップ力を高めます。
ブロックと溝:雪を踏み固めて生み出す雪柱せん断力
太い主溝によって区切られたゴムの塊が「ブロック」です。雪道においては、このブロックと溝の組み合わせが重要な役割を果たします。
- 雪柱せん断力:タイヤが雪の上を転がる際、溝の中に雪を取り込んで強く踏み固め、固い雪の柱を作り出します。この固まった雪が崩れるときに生じる抵抗力(雪柱せん断力)を利用して、駆動力や制動力を得ています。
- 氷上性能とのバランス:雪をしっかり踏み固めるためには溝を太く深くする必要がありますが、溝を広げすぎると氷上でのゴム接地面積が減ってしまいます。雪を捉える溝と、氷へ接地するゴムの面積を両立させる工夫が必要です。
まとめ:素材とパターンが連携して発揮されるグリップ力
- 低温下でもしなやかさを維持する配合設計により、凍結路面の微細な凹凸に密着する。
- 細かなサイプが均一な接地を助け、水膜の取り込みとエッジ効果で氷を捉える。
- ブロックと溝が雪を踏み固め、雪柱せん断力によって雪道での駆動力・制動力を生み出す。
低温でもしなやかさを保つゴムと、氷や雪を捉える溝。この2つを組み合わせた設計が、スタッドレスタイヤのグリップを支えています。